クモハゼ
【沖縄本島のタイドプールで撮影したクモハゼの水中写真】
つい最近、シャラポワのドーピング問題が大々的に報じられましたが、ドーピング検査に関しては、スポーツだけではなくチェスや囲碁の世界基準の大会では検査が行われるようになったことは薬剤師さんなどを除いてあまり知られていないと思います。
特に血圧を下げる薬や頭をスッキリさせる薬などは検査に引っ掛かり、制裁もあります。
ただ、国際チェス連盟の “頭脳を使うスポーツ" という表現は、何度見てもいまいちしっくり来ないのですが・・・。
それを言うなら、タイドプールの撮影は頭も体もお金も時間も使うスポーツだ。と言ってみたい。
・・・という訳で、タイドプールで撮影したクモハゼ。
クモハゼが生息している環境は、サンゴ礁域、岩礁域といった海岸のタイドプール。特に沖縄本島の沿岸では、タイドプールの中でも “海草帯が発達した場所" に多いような気がします。
通常は転石下や死サンゴ塊の間隙、海草の陰などにいる事が多いが、丁寧に観察を行えば写真のように自ら姿を表してくれます。
下段の “クモハゼ属の外観特徴" でも書きましたが、水中での観察中では第一背鰭を注意深く見ると同定しやすいと思います。
※クモハゼが属する “クモハゼ属" は、明仁親王と目黒氏により分類学的検討が行われ、日本産は6種とされていましたが、その後に4種が追加されて10種が分布する事が判明しました。大西洋、インド・太平洋の温~熱帯域からはおよそ25種が知られており、その内の10種が上述した日本産となります。
写真はそれぞれ別の個体を撮影したものです。
クモハゼの外観特徴
クモハゼの第一背鰭上部には、明色帯があり前から後ろまで伸びており、その下に暗色帯があることで分かりやすい。
また、体側に中央から下部に向かって伸びる黒色斑が縦裂するなどで近似する “クロヤハズハゼ" と区別されます。
写真を拡大して判別する場合、胸鰭の遊離分枝鰭条は3本となる。(よく見ると、鰭条が枝毛の様に分かれています)。
クモハゼの分布
クモハゼは、伊豆諸島、小笠原諸島、千葉県勝浦~屋久島・種子島の太平洋沿岸、石川県能登半島~九州南岸の日本海・東シナ海沿岸、トカラ列島、琉球列島;朝鮮半島南岸、済州島、台湾北岸・南岸、澎湖諸島、広東省、海南島、西沙群島、インド-太平洋(紅海とハワイ諸島を含む;ライン諸島まで)からの報告がある。
和名 : クモハゼ(スズキ目ハゼ亜目ハゼ科クモハゼ属)
学名 : Bathygobius fuscus
撮影日 : 2016年2月11日
撮影場所 : 沖縄本島西海岸
撮影水深 : -0.3m