キイロサンゴハゼ
「キイロサンゴハゼ」は、水深の浅いハードコーラルなど、珊瑚のスキマに生息する小型サイズのハゼの仲間です。沖縄本島のダイビングでは、西海岸、東海岸どちらでも見ることはできますが、個体数が多いのは、やや海水が濁ったような場所に多く見かけるように感じます。
キイロサンゴハゼ
キイロサンゴハゼ
本項では、キイロサンゴハゼを水中で実際に見た際の外観や生息環境が分かるような水中写真を載せています。
これらの水中写真は、すべて沖縄本島のダイビングで水中撮影をしたもので、沖縄本島の北部にあるシークレットポイントから、那覇市内の波の上うみそら公園で撮影したものまでが入り混じっています。
キイロサンゴハゼについて
キイロサンゴハゼは、テーブル状あるいは枝状珊瑚(ミドリイシ属)の枝間などに見られる小型のハゼで、サンゴの外側へ出ていることが多いことから、水中での観察は意外と容易です。
珊瑚から飛び出しているキイロサンゴハゼ
上記の水中写真は、キイロサンゴハゼが枝状のミドリイシ属サンゴから飛び出ている瞬間を撮影したものですが、遠目から見てもこのように周囲を見回しているキイロサンゴハゼに出会いますので、見つけるのは割と簡単だと思います。
しかしながら、水中撮影しようと近づくと、カメラに対して斜め後ろ向きになり、逃げる準備をし始めるので、ハウジングは動かさないまま、自分は陰に隠れたり、場合によっては、一旦距離を取ってみたりすると、興味津々な雰囲気で近づいてくるので、そうなれば撮影は簡単にできるかと思います。
枝状サンゴの陰に潜むキイロサンゴハゼ
キイロサンゴハゼに、やや強引に近づいてしまうと、このようにサンゴの枝間に隠れようとしますが、ハゼの仲間としては警戒心が低い部類に入るのではないかと思います。
ただ、キイロサンゴハゼの体表には毒があり、目立つことで捕食者に危険を知らせているという説があります。
日本の信号でも黄色は注意という意味でもありますので、自然界と何らかの共通認識があるのかなと考えてしまいます。
興味津々で近づいてくるキイロサンゴハゼ
上記の水中写真は、興味津々で近づいてくるキイロサンゴハゼを撮影したものです。
相手に警戒心を与えないように振舞っていれば、手持ちカメラのレンズ前スレスレまで近づいてくる、愛嬌のある性格をお持ちのようです。
キイロサンゴハゼの生息環境について
キイロサンゴハゼが生息している環境は、水深2m~15m付近までとなります。
これは、生息しているミドリイシ属サンゴの生息できる水深が、その辺りまでとなっているからです。
魚類だけでなく、ウミウシでも甲殻類でも昆虫でも鳥類でも、その種を探したければ、生息する環境や餌となるものがある場所を探せば良いということが分かるかと思います。
キイロサンゴハゼのペア
枝サンゴのスキマを覗いていると、時としてペアに出会うこともあります。
この時は、沖縄県那覇市のダイビングスポット「波の上うみそら公園」でサンゴのスキマにいるキイロサンゴハゼのペアと出会いました。
ひとつの生物を標本のように撮影することも大切ですが、やはり生態を撮影するほうが楽しいですね。
撮影ポイントが気になる方は、過去に投稿した下記ブログをご覧ください。
キイロサンゴハゼの特徴
キイロサンゴハゼの外観(標本ではなく生時)から分かる特徴は、次の通りとなります。
- 鰓蓋上部に黒色斑がない
- 眼をとおる赤色垂線がない
- 頭部背面、背鰭基底部に赤色斑がない
- 頭部にひげ状突起がない
- 前身は一様に黄色
外観の特徴もは、全身が一様に黄色いということで、容易に判別できます。
キイロサンゴハゼと同様に、全身が真っ黄色でサイズが小型のアカネダルマハゼとは、頭部にひげ状突起がないことや、体高がやや高いことで区別できます。
同じように全身が真っ黄色で、小型サイズのハゼとしては、ミジンベニハゼ、ナカモトイロワケハゼが挙げられます。
これらのハゼは、全身が真っ黄色なことや、サイズが小型であることから、この種のハゼを初めて見るかたには見分け方が難しい場合があるかも知れません。
キイロサンゴハゼの生息エリア(海域)について
魚類に関する下記の専門書では、キイロサンゴハゼの生息エリアとして、以下の地域が記載されています。
和歌山県白浜、高知県栢島、愛媛県室手、琉球列島、台湾南部、西沙群島、フィリピン諸島、マブール島(マレーシア・カリマンタン島)、スラウェシ島、パラオ諸島
キイロサンゴハゼの和名および学名について
キイロサンゴハゼの和名および学名については、次の通りです。
和名 : キイロサンゴハゼ ( スズキ目 / ハゼ亜目 / コバンハゼ属 )
学名 : Gobiodon okinawae
キイロサンゴハゼの学名である “Gobiodon okinawae" には、沖縄県の”okinawae”が入っています。
キイロサンゴハゼに関する論文・文献について
キイロサンゴハゼに関する論文・文献を以下に紹介します。
- Allen, G. R., & Erdmann, M. V. (2012). Reef fishes of the East Indies. Volumes I-III. Tropical Reef Research.
- Fricke, R., & Eschmeyer, W. N. (2019). A guide to fish collections in the Catalog of Fishes. Electronic version, updated 22 April 2019. California Academy of Sciences.
- Kuiter, R. H., & Tonozuka, T. (2001). Pictorial guide to Indonesian reef fishes. Part 2. Fusiliers – Dragonets, Caesionidae – Callionymidae. Zoonetics, Australia.
- Myers, R. F. (1999). Micronesian reef fishes: a comprehensive guide to the coral reef fishes of Micronesia. Coral Graphics, Barrigada, Guam.
- Randall, J. E., & Allen, G. R. (2010). Gobiidae. In M. L. J. Stiassny, G. D. Johnson, & C. Patterson (Eds.), The fishes of the western Indian Ocean (pp. 605-742). California Academy of Sciences.
以下に、キイロサンゴハゼに関する日本語の文献の一部を紹介します。
- 藤田尚久・中西伸一郎・横山洋行・平田勝利(1995)『日本産魚類大図鑑』南海出版株式会社。
- 大森実・藤田尚久・泉正夫(1999)『日本産魚類全種―海水・淡水―』エムピージェー。
- 岩崎智之・高橋浩・杉本慶・鶴谷哲哉・浜田広志(2008)「伊豆大島島西岸におけるサンゴ礁魚類群集の時空間変動に関する研究」『水産増殖』56(2)、89-99。
- 宮本航平・浜辺雅雄(2011)「沖縄島南部におけるサンゴ礁魚類の生息密度および個体群動態」『日本水産学会誌』77(6)、1036-1044。
- 川村裕子・大西美貴・小杉英一・岡村隆・和田清昭(2017)「養殖場におけるキイロサンゴハゼの生息環境と個体群動態」『日本水産学会誌』83(1)、116-122。
これらの文献は、キイロサンゴハゼに関する日本語の分類学や生態学、個体群動態に関する情報を提供しています。また、キイロサンゴハゼを含むサンゴ礁魚類に関する研究や観察記録なども多く存在します。具体的な研究については、学術誌やデータベースなどを調べることで確認できます。
キイロサンゴハゼの飼育
キイロサンゴハゼは、南太平洋やインド洋に生息するサンゴ礁に生息する小型の魚です。その美しい体色と可愛らしい外見から、多くの愛好家に人気があります。
キイロサンゴハゼの飼育には、水槽内での環境作りが非常に重要です。水温は25℃から28℃、塩分濃度は1.022から1.025程度が適切です。また、pH値も8.0から8.4程度が理想的です。餌は冷凍アカムシや小さなサンゴを与えましょう。
水槽内の環境作りだけでなく、キイロサンゴハゼは他の魚との共生が得意な種類なので、同じ水槽内に他の小型の魚と一緒に飼育することができます。ただし、他の魚との競争が激しいため、エサは細かく刻んで与えるようにしましょう。
キイロサンゴハゼは、極端な水質の変化に敏感なため、水槽内の環境が estabilized であることが重要です。定期的な水換えや、フィルターのメンテナンスを行い、水質を管理しましょう。
以上のような環境を整えて、キイロサンゴハゼを飼育することができます。しかし、初心者にとっては、飼育が難しい種類の魚でもあるため、事前にしっかりと調べ、必要な情報を把握することが大切です。
キイロサンゴハゼを見ることができる水族館
以下では、キイロサンゴハゼを見ることができる水族館をご紹介しています。
新江ノ島水族館
キイロサンゴハゼを、スキューバダイビングやシュノーケリング以外の方法で観察したいのであれば、水族館へ出向くという方法があります。
神奈川県の「新江ノ島水族館」では、皇室ご一家の生物学ご研究エリアで、キイロサンゴハゼを展示しています。ハゼが展示されている水槽にキイロサンゴハゼが展示されており、サンゴの近くでキイロサンゴハゼがホバリング(サンゴから少し離れて浮遊)している姿を観察することができます。
新江ノ島水族館へ行くのであれば、当日の入館がスムーズになるうえに、割引のある前売り入館の電子チケットがもっともお得です。
都心からのアクセスが良く、駐車場完備。さらに人気のクラゲコーナーや、イルカショーなど見どころも多く、おひとり様でも子連れでも充分に楽しめる場所です。
新江ノ島水族館限定のお土産も、話題ですよね。
美ら海水族館
キイロサンゴハゼの生息エリアは、琉球列島以西ということもあり、本場沖縄県の美ら海水族館でも、キイロサンゴハゼが展示されています。
美ら海水族館は、事前に購入しておくことで、割引チケットを適用することができます。営業時間内にジンベイザメなどの展示水槽を見る場合はチケットが必要です。しかし、イルカショーだけなど、敷地内の屋外エリアは無料で散策することができます。
設立から長いので、古いカーナビでも検索できるためアクセスも容易ですし、駐車場は無料で利用することができます。
ランチや休憩向けのカフェが屋内に1店舗、屋外のテイクアウト風な店舗が少しだけありますが、子連れファミリーの多くは、スーパーやコンビニで買ってきてエリア内のベンチやテーブル、芝生に敷物を敷いて食べているほうが多いかも知れません。
水族館の中では、やはり割高になりますので、ランチは外から持ち込んで、浮いた分をお土産に使うというのもありかと思います。
上越市立水族博物館 うみがたり
新潟県にある、上越市立水族博物館 うみがたりでも、キイロサンゴハゼの展示があるようです。
その他の水族館
キイロサンゴハゼが見れる水族館としては、鳥羽水族館や魚津水族館なども水槽で飼育しているようですので、情報を検索してみてくださいね。
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